井上敦子 | ヴァイオリン奏者・アレクサンダーテクニーク教師

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Harmony for JAPAN

更新日:2023.03.07 [Tue] |


Harmony for JAPAN 2023
 
という、東日本大震災の被災地域の合唱活動に特化した支援のためのコンサートに、オーケストラで参加しました。


全国から集まったたくさんの合唱団に、東北からは岩手県の中学校合唱部・福島県の合唱団体が招待され、大規模な演奏会でした。

団体については、ご興味があればぜひウェブサイトをご覧ください。



岩手の中学合唱部の生徒さんは、オーケストラとの共演はもちろんこんな遠い地で歌うのもおそらく初めてだったのでしょうが、リハーサルの初めこそ緊張が見えたものの、指揮の本山先生のリードにみるみる反応していき、本番でのしなやかで力づよく澄んだ歌声はそれは素晴らしいものでした。


本番もとても良かったですが、個人的にはリハーサルでの第一声にこみ上げてくるものがあり、涙が出ないよう我慢しながら弾かなくてはならないほどでした。


少し話が逸れますが自分も阪神・淡路大震災を経験しました。
私が被災したのは小学生の時で、クラスメイトが2名亡くなりました。

お葬式で、亡くなったクラスメイトのお母さんが「あっちゃんは長生きしてね」と声をかけてくださいました。
一緒に参列した私の母はただ泣くことしかできず、私も何も言うことができませんでした。
彼女のお母さんがどんなお気持ちであったか、とても想像できるものではなく、それを思うたびに胸がちぎれそうになりますが、私はその後今まで「もうダメかも」という絶望的な局面にぶち当たってはその言葉を幾度となく思い出し、支えてもらいながら生きてきたと思います。


今回のコンサートは、震災を経験した身としても非力ながら自分にできる演奏という形で復興支援に加わることができ、ありがたい思いでした。


この日演奏した中の一つは、当時被災した福島の中学校の生徒さんたちと音楽の先生によって作られた歌でした。

「群青」(こちらは過去の演奏 / YouTubeにリンクします)




本番は大人の合唱団と中学生がそれぞれ1回ずつ、オケと一緒に歌いました。
大人は大人でこそ表現できる豊かな味わいが、
中学生はこの時期にしか絶対に出すことのできないピュアな響きがありました。


Harmony for JAPANのコンサートは2012年から始まって、コロナの中断を挟んで今年で10回目、コンサートは今回で一旦区切りとのことですが、

団体は存続され、新しい形での支援活動が期待されるそうです。


前を向きつつ忘れないこと、心を寄せること、を改めて想う日となりました。

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