井上敦子 | ヴァイオリン奏者・アレクサンダーテクニーク教師

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アレクサンダー・テクニーク

ワークショップを受けに

更新日:2018.02.24 [Sat] |

イギリス人アレクサンダーテクニーク教師、ピーター・リボー氏のワークショップを受けてきました。


ピーターは私が教師になるトレーニングの期間中から、指導やモデレーション(といって、進度や適性についての評価をされる課程がありました)を受けたりしてきました。

たいへんお世話になり、影響を受けた先生です。


今回は教師の同僚や大先輩にあたる方、現在勉強中の方などが集まって、

"Coordinating the Hands and the Back" =「手と背中のつながり」

というテーマでアドバイスを受けながらワークをしたり、ディスカッションをしました。


あっという間の4時間のなかで、特に印象に残った彼の言葉がありました。

「(どのようなことも)完全に理解したということはないからね


確かアレクサンダーのレッスンについての話題の中のひとことで、実際はもう少し具体的な表現であったのですが、聞いていた私にはその瞬間、他の音がシーンと消えて、その言葉だけがスッと切り取られてきたような感覚になりました。



アレクサンダーのワークやレッスンにおいてはもちろんですが、他の様々なことにおいても、「わかった!」と思う・あるいはそのようにジャッジすることの危うさはこれまでもたびたび経験しているので、とても腑に落ちた気がしました。


ベテラン中のベテランであるピーターからの言葉であったことも、私たち若手にとっては希望と大きな勇気をもらうものでした。

もう少し具体的に書けると良いのですが、強く感じたことほど言葉にすることが難しい気がしてどうも苦手です...(苦笑)自分の課題としてこれから取り組んでいきたいと思います。

よーし、またがんばろう!


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ある日のレッスン 〜アレクサンダーテクニーク編

更新日:2018.01.25 [Thu] |

私自身の職業柄もあり、アレクサンダーテクニークのレッスンには演奏家の方が来られることが多いのですが、先日は、楽器の製作・修理のお仕事をする方が来られました。いわゆる職人さんです。

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私個人の経験としては新鮮でしたが、レッスンの内容や原則的なことには大きく違いがあるわけではありません。


歯を磨くのも、料理をするのも、特別で専門的な作業であっても、「自分が思考する・動く」という人間の根本のところは共通しています。


それをもとに、彼が最近感じていた、利き手である右肩から腕にかけての痛みがあるという問題に向き合うワークをしました。

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レッスンを進めるなかで、彼自身にとっては「当たり前」になっている動き方や考え方(いわゆる癖、というやつです)を繰り返していたことに気づいた瞬間がありました。

レッスンでは上の写真のように教師が手を使ってその気づきを促したり、身体が良い機能でもって動ける方向性を示すワークを往々にしておこなうのですが、この時は彼自身の気づきと明確になった方向性によって、本人もびっくりするくらいスムーズで簡単に、腕を動かすことができました。

 

「気づく」というのはアレクサンダーテクニークにおいて重要なキーワードのひとつなのですが、自分がどのように動いているのか、また、いろいろなことに対してどのように反応をしているか、などに気づくだけで改善される問題や、その人自身がもともと持っている能力を最大に発揮できることが多くあります。



(この記事はご本人の許可を得て書いています。

レッスンに関してその内容や生徒さんの情報を、無断で使用・公開することはありません。)

 

エクスチェンジワーク

更新日:2017.11.18 [Sat] |

同僚の先生たちとエクスチェンジをしました。


エクスチェンジワークとは、アレクサンダーテクニーク教師間での勉強会のようなものです。エクスチェンジ(=交換) と呼んでいるとおり、ワークのセッションを通して技術やアイデアのやりとりをしながらお互いにフィードバックしたり発展させて研鑽を積みます。


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同じ教師養成校出身の倉石アオミさん、船越恵さんとは家が近いこともあり定期的にエクスチェンジをしています。


自分の課題や盲点が明らかになることもあれば、思わぬ突破口が見つかることもあります。

面白いのはワークしていく中で自分に関して気付いたことが相手の気付きになり(逆もしかり)、さらに新たな視点や確信につながっていくことです。




アレクサンダー関連の本を読み込んだり、レッスンやワークショップについてのディスカッションもします。


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話題はそれぞれの近況や仕事の話、最近思うことやこれからのこと、悩みや励まし合いにも...

いわゆる同じ釜の飯を食った仲の女子(もとい、女性⭐︎)が集まると話が尽きません。特にお互いの変化や成長には敏感な気がします。




アレクサンダーテクニーク教師は各々専門の職業を持った人が多く、私たちの養成校では音楽家・教師・医師・作業療法士が一緒にトレーニングを積んでいました。


学校の方針が少数精鋭であったので卒業した教師は全員で6名だけです。

英国STAT(アレクサンダーテクニーク教師協会)の認定を受け、現在は全国各地で活動をしているすばらしい同僚たちです!



養成校での恩師と同僚のウェブサイトはこちら

2017.10.18 [Wed.]

アレクサンダーテクニーク講座 @県立西宮高校音楽科

更新日:2017.10.20 [Fri] |

9月から10月にかけて、兵庫県立西宮高校音楽科でアレクサンダーテクニークの特別講座がありました。


全3回計6時間、講師は恩師の茅原初子先生で、今回は同僚の倉石アオミ先生、船越恵先生と一緒にアシスタントをつとめさせていただきました。


初回は「アレクサンダーテクニークとは?」の講義に始まり実際にテクニークの基本レッスンの体験、そして2回目以降はグループに分かれてそれぞれの楽器を持ってのレッスンでした。



講義を聞いて疑問に思ったことや実技で悩んでいることなどを一人ずつ聞きながら、テクニークを使ってのアプローチをしていきました。

本人も周りも驚くような音の変化があった人、前に比べて自分の音を客観的に聴きながら弾けたという人、数分前には手が冷たかったのにぽかぽかしてきました!という人、なかには何が起きたのか分からないけれど音や身体の様子が変わった...どういうこと?と頭に?マークをいっぱい浮かべている人、などたくさんの反応がありました。

身体機能的には起きて当然のことでも、自分の感覚として捉えるとなるとそれが正しくても初めは違和感を覚えるというのはよくあることです。


グループレッスンならではの光景も。

同じ楽器であれば共通する課題も多いようで、ある生徒さんのレッスンを見ていたその場のほぼ全員が「あー、それあるある!あるわ~」と頷く場面も何度かあり、またそれぞれにフィードバックされたようにも見えました。

一人数分ずつではありましたが、人前でパフォーマンスをすることに慣れている音楽科の生徒さんであってもクラスメイトの前で自分の問題を話しそれを解決する作業というのはある意味勇気のいることだったかもしれません。それも含めて良いワークの経験になっていたらいいなと思います。


講座は昨年に続いて2回目で、アレクサンダーテクニークをぜひ高校の生徒さんたちにも、との音楽科長先生の思いから文部科学省への申請を経て数年越しでの実現だったそうです。

生徒さんたちからは演奏に真剣に向き合っている人の熱気やそれゆえの葛藤も伝わってきて、今回の経験が少しでも自分の何かを発見したり変えるきっかけになりますように、と願いながら久しぶりの母校を後にしました。


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私にとって高校時代といえばスランプをきっかけにアレクサンダーテクニークを知って、一つのターニングポイントになった時期でした(そのころの

このような形で戻ることができたのは本当にうれしい出来事で、いろんなことに一喜一憂していた当時の自分が知ったら喜ぶだろうな、なんて思ったりしました。

アレクサンダーテクニークとの出会い(私の体験談)

更新日:2017.10.10 [Tue] |

高校の音楽科でヴァイオリンを勉強するなかでスランプに陥ったことがきっかけでした。
よいと思う練習を毎日何時間もするのですが満足に演奏できるどころか身体のあちこちが痛くなり、それとともに気持ちも落ち込むばかりで、このままでは進学以前に楽器を弾き続けることができなくなるかもしれないという危機感を持つようになりました。


ヴァイオリンの先生の指導や取り組んでいた練習そのものに間違いがあったとは思えず、自分の何かが問題なのだろうと感じていたもののその何かが分からない。うまくいかないし立ち止まることも怖い。焦りながら体力と生真面目さだけを頼りに相変わらず練習ばかりしていました。
何よりも辛かったのは、理想に向かって練習はしたいしあれもこれも弾けるようになりたいという意欲とは裏腹に楽器を弾くことが身体的にも精神的にも苦痛になっていくことでした。

そんな中、テクニークのレッスンを受けているというクラスメイトの話を偶然聞き、詳しくは分からないけれど身体や演奏に良さそうだということと、その話をするクラスメイトがとても生き生きしていたことが印象に残り、自分もレッスンを受けにいくことにしました。
今となっては笑って話すことができますが、当時は藁にもすがる思いだったことをよく覚えています。


当時の私は演奏するときにはかならず腕や脚に余計な力がはいっていて、それに気づかないほど身体の感覚はいいかげんなものでした。楽器に触れている手、持ち上げている腕、背中、上半身を支え床に立っている足などについてもほどんど意識のない状態で練習をしていました。
また、ヴァイオリンの先生の前にいるときは礼儀正しくあろうという気持ちから、また人前で弾く時には自分の一生懸命さをアピールするために知らず知らずのうちに体を萎縮させていました。


テクニークのレッスンを通してこのようなパターン化した自分の反応(くせ)を知り、そしてそれをやめる訓練をしていくことで徐々に体の力みや痛みは改善されました。その後無事に大学へ進学しさらにヴァイオリン漬けの毎日を送りますが、そこで学ぶことをより深く理解するのにテクニークはとても助けになりました。

卒業が近づくと、将来はヴァイオリンの演奏や教えることを生業として、さらにできる限り長く演奏を続けていきたい、そのためにはアレクサンダーテクニークに精通しているヴァイオリニストの先生のもとで学ぶ必要があるなと考えるようになりました。
そして幸運にも、アレクサンダーの発祥地であるイギリスの音楽大学にそのような教授がいると分かり、留学がかないました。(もっと詳しいいきさつを書き始めると長くなってしまいそうなので、いつか機会があれば...)


ここでの経験を経てヴァイオリンを弾くことがようやく楽しいと思えるようになり、尽きることのない悩みや問題に向き合うときも、身体と思考の両方の面から納得しながら進んでいく面白さを知りました。
その甲斐あって、現在にいたるまでは大きな問題や故障なく演奏を続けられています。

私にとってはヴァイオリンをきっかけに始めたアレクサンダーテクニークですが、自分の使い方を根本的に見直すことで健康面では疲れにくくなったり代謝が良くなったり、精神面でも人間関係や自分自身と向き合うことが以前よりも良い方向に変化していることを感じます。


そしてこの経験から、自分もテクニーク教師になることを決意しました。同じような悩みを持つ人や自分の持っている能力と可能性を最大に引き出したいと願う人の役に立つことができれば、これほど嬉しいことはないと思っています。

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